異色のレシピ本
投稿者:今西和彦
こんにちは、今西です。
スピリチュアルに硬軟あるとしたら、
極めてハードなインドの哲人、J・クリシュナムルティ。
彼のいかにもスマートで端麗な容姿に、
気軽に臨むとエライことになる。
スピリチュアルに親しくなるつもりが、
物の見事に弾かれてしまう。
没後23年、彼が投げかけた問いに
今でも誰かまともに応えることが出来るのだろうか。
彼と対峙した、かのダライ・ラマ14世でさえも。
しかし、今回は、その峻厳かつ透徹した思想・哲学についてではなく、
少し趣を変えて、彼の日常の食事とその食卓に招かれた人々と交わされた
言葉をまとめた『キッチン日記』という作品について。
この本は、側近の料理人が、日々の食事の、
準備段階から始まり、その合間のやりとりや、
実際の会食の様子、あるいは食後の散策を通して、
彼の思想の断片(全体と言うべきかな)、を紡ぎだしていく。
フルーツや野菜を中心にしたいわゆる身体に優しいメニューが中心で、
しばし彼の厳しい問いかけを忘れる。
ある日のメニュー
「 前菜・トストグリーンサラダ
ビネグレットソースまたはロクフォールのドレッシングつき
・パスタサラダ
エンジェルヘアパスタ、細切りオリーブ、松の実、ペーストソースで作ったもの
・新鮮な薄切りトマト
モッツアレラチーズと新鮮なバジル添え
主食・コーンキャセロール
玉ねぎ、ピーマンと人参を含むとうもろこし入りの焼き鍋
・キュバナの黒豆
セロリ、ピーマン、コリアンダーと辛くないチリパウダー入りの
トマトソースで料理したもの
・人参、パイナップル
デザート・タピオカプディング
・新鮮な季節の果物 」
読後には、柑橘系のさわやかな酸味、甘ささえも感じられる滋養に満ちた苦味、
それらが、放たれた深遠な思想に少し軽みを与え、
勝手にだが、身になっていく錯覚がある。
こういう学び方もあるのだ。
「分離」「比較」「思考」「分析」「経験」「段階的」等
あらゆる「条件づけ」を俎上にあげていく姿は、
決して甘くはないが、一読の価値はある。
どの作品、どのページ、どの文章にもブレはない。
ちなみに私が好きな言葉、
「真理は組織化し得ない」
「真理は道なき道である」
ラッシャー板前も尊敬するビートたけしに近づくために
わずかな料理人経験を武器に弟子入りした。
著者、マイケル・クローネンも同様であった。
どんな方法であれ、真理に近づく道はある。
それが、たけし軍団でもいい。
『キッチン日記ーJ・クリシュナムルティとの1001回のランチー』
著者:マイケル・クローネン
発行:コスモス・ライブラリー
定価:2,575円(税別)
没後23年目の命日を明日にひかえて
合掌




